市場価値が上がる4つの営業経験

営業のキャリアを考えるうえで、「どんな営業経験を積んできたか」は重要になります。中でも市場価値につながりやすいのが、新規開拓・法人営業・無形商材・高単価商材の4つ。今回はそれぞれ何が身につくのかを整理していきます。
📌 この記事のポイント
- 新規開拓=売上を作るプロセス全体を理解している証明になる
- 法人営業=複数の関係者を動かす経験。案件規模で得られるものが変わる
- 無形商材=課題を起点に価値を説明する力が鍛えられる
- 高単価商材=顧客の意思決定を動かす経験が積める
- 共通するのは「何を売ったか」より「どんな課題を解決したか」
① 新規開拓|売上を作るプロセス全体を経験できる
新規開拓営業は、営業職の中でも特に負荷が高い仕事です。しかしその分、キャリア上の武器になりやすい経験でもあります。
新規開拓では、ターゲット選定、アプローチ、アポイント獲得、商談、提案、クロージングまで、自分で顧客を作る必要があります。
この経験を持つ人は、単に「顧客対応ができる営業」ではなく、「売上を作るためのプロセスを理解している営業」として評価される可能性があります。
伝えるときのポイント
特に重要なのは、どのように新規顧客を開拓したのかを説明できることです。
- 電話、メール、紹介、展示会、Web問い合わせなど、どのチャネルを使ったのか
- 何件アプローチし、何件商談化し、どの程度受注したのか
- チャネルごとの歩留まりに、どんな違いがあったのか
- うまくいかなかったチャネルを、どう見切ったのか
こうした数字を整理すると、自分の営業力が可視化されます。
新規開拓は、営業マネジメントや事業開発、スタートアップへのキャリアにもつながります。新しい市場を開拓する仕事では、顧客を待つのではなく、自ら機会を作る能力が重要だからです。
新規営業がつらいからといって、その経験を「ただ大変だった仕事」で終わらせるのはもったいないため、将来のキャリアにつながる強い経験として、言語化しておきたいところです。
② 法人営業|案件規模で、得られる経験が変わる
法人営業は、営業職の中でもキャリアの幅を広げやすい経験の一つです。
法人営業では、企業の担当者だけでなく、決裁者、現場担当者、経営層など、複数の関係者とやり取りすることがあります。そのため、顧客の課題を理解する力、社内外の調整力、提案力、交渉力が自然に鍛えられます。
さらに重要なのが「案件の規模」
ここは、見落とされがちなポイントです。
・数万円の商品を短期間で売る営業
・数百万円・数千万円規模の案件を半年かけて受注する営業
では、求められる能力がまったく異なります。
後者では、稟議のプロセスを読み、社内の推進者を見つけ、複数部署の懸念に一つずつ答えていく必要があります。この経験は、エンタープライズ営業、コンサルティング、事業開発、営業マネジメントへのキャリアにつながりやすくなります。
ただし、法人営業なら何でもいいわけではない
既存顧客への御用聞きだけを続けている場合は、注意が必要です。
課題を発見して提案する経験や、新規顧客を開拓する経験を積めると、市場価値は大きく変わってきます。
法人営業を単なる「企業相手の営業」と考えず、どんな顧客に、どんな課題を、どの規模で解決したのかを意識して経験を積みたいところです。
③ 無形商材|課題を起点に価値を説明する力
無形商材とは、ITサービス、人材、広告、コンサルティングなど、形のない商品やサービスのことです。
無形商材の営業では、商品そのものを見せて売ることが難しい。だからこそ、顧客の課題を理解し、その課題に対する価値を説明する必要があります。
結果として、ヒアリング力、課題解決力、提案力が鍛えられます。
具体的には、こういうことです
- 人材サービスなら:「人が足りない」という表面的な課題の裏側にある、採用戦略や組織課題まで考える
- SaaSなら:機能を説明するのではなく、そのサービスを導入することで業務がどう変わるのかを説明する
- 広告なら:出稿するかどうかではなく、事業のどの数字を伸ばしたいのかから逆算する
こうした経験は、営業職だけでなく、コンサルティング、カスタマーサクセス、事業開発、マーケティングにも応用できます。
ただし、無形商材営業でも、単純な価格競争だけを経験している場合と、顧客の課題を起点に提案している場合では、得られる能力が違います。「何を売ったか」だけでなく「どんな課題を解決したか」を意識することが、経験を資産に変えるポイントです。
④ 高単価商材|顧客の意思決定を動かす経験
高単価商材の営業では、顧客が購入を決めるまでのハードルが高くなります。そのため、営業として高度な経験を積みやすいという特徴があります。
数万円の商品なら、担当者の判断だけで購入できるかもしれません。しかし数百万円、数千万円の商材になると、複数の部署や決裁者を巻き込む必要があります。
その中では、課題の整理、費用対効果の説明、社内調整、交渉、クロージングなど、さまざまな能力が求められます。
特に重要なのが「必要な理由」を作る力
高単価商材では、顧客の「欲しいもの」を売るのではなく、「必要な理由」を作る能力が問われます。
価格だけでなく、導入によってどんな成果が生まれるのかを、数字も含めて説明しなければなりません。「あったら便利」レベルでは、大きな金額は動かないからです。
こうした経験は、エンタープライズ営業やコンサルティング、事業開発など、より高度な営業職につながっていきます。
ただし、高単価商材を扱っているだけで市場価値が高くなるわけではありません。受注までのプロセスを理解し、自分自身で顧客の意思決定を前に進めた経験があるかどうかが問われます。
💡 ここだけ押さえておきたいこと
- 4つの経験に共通するのは「顧客の課題から入っているか」
- 商品説明で売れた経験より、課題を発見して提案した経験のほうが価値が高い
- そして、その経験を数字とプロセスで語れるようにしておくこと
今の環境で、いくつ経験できていますか
最後に、簡単に振り返ってみてください。
新規開拓を経験していますか。複数の関係者を巻き込む案件を担当していますか。形のない価値を説明する仕事をしていますか。顧客の意思決定を動かした実感がありますか。
一つも当てはまらないとしたら、今の環境で経験を広げる方法を探すか、環境そのものを見直すタイミングかもしれません。
営業年数は自然と積み重なっていきますが、経験の幅は意識して広げに行かなければ増えていかないものです。
