トップ営業マンがマネージャーになって失敗するワケ|他人は自分と同じようには動かない

営業成績がトップだった人が、マネージャーになった途端に苦戦する——これは、決して珍しいことではありません。むしろ、よくある話です。原因ははっきりしています。
📌 この記事のポイント
- 最大の理由は「自分と他人は同じようには動けない」から
- 自分の成功パターンをそのままメンバーに押し付けても、同じ成果は出ない
- マネージャーに必要なのは、成果が出ない原因を特定すること
- 「自分ならもっと売れる」は、部下の成長機会を奪う
- 営業力を「自分だけの能力」から「チームで再現できる仕組み」に変える
なぜトップ営業マンがつまずくのか
最大の理由は、シンプルです。
自分と他人は、同じようには動けない。
トップ営業は、自分なりの成功パターンを持っています。それは間違いなく、成果を出してきた本物の方法論です。
でも、それをそのまま部下にやらせても、同じ成果が出るとは限らないんですよね。
それは、「スタイルの違い」です
「とにかく訪問件数を増やせば売れる」という方法があったとします。
この方法は、行動量で押し切れるタイプの人とは相性抜群です。一方で、一件一件の商談をじっくり作り込むほうが最終的に成果が出るタイプのメンバーもいます。彼らにとって、訪問件数を増やす方法は全く合いません。むしろ、それぞれの商談の質が下がり、逆効果になることもあります。
能力の高低ではなく、スタイルの違いなんです。
マネージャーに必要なのは「原因の特定」
では、マネージャーには何が必要なのか。
マネージャーに求められるのは、自分のやり方を押し付けることではありません。メンバーが成果を出せない原因を特定することです。
- 商談数が足りないのか → 行動量、アプローチ手段、リード供給の問題
- ヒアリングが弱いのか → 質問設計、顧客理解の問題
- 提案内容に問題があるのか → 課題と提案の接続、競合比較の問題
- クロージングが苦手なのか → 決裁プロセスの把握、不安の解消の問題
原因が違えば、取るべき施策も違います。
ここを分けずに「もっと頑張れ」「気合が足りない」と言ってしまうと、メンバーは何を改善すればいいのか分からないまま消耗していきます。
「自分ならもっと売れる」という落とし穴
もう一つ、トップ営業マンがハマりやすい罠があります。
マネージャーは、自分自身が売る時間を減らし、チームを支える仕事に時間を使う必要があります。
でも、営業力が高い人ほど「自分がやったほうが早い」と感じてしまうんですよね。実際、その通りであることも多い。
しかし、「自分ならもっと売れる」と考えて案件を巻き取ってしまうと、部下の成長機会を奪うことになります。
短期的には数字を積むことが出来ても、チームは強くなりません。そして翌年も、その次の年も、同じことを繰り返すことになります。
巻き取るべきか、任せるべきか
もちろん、失注が許されない重要案件で同行やフォローに入るのは、マネージャーの正当な仕事です。
大事なのは、「なぜ今回は自分が介入するのか」をマネージャー自身が言語化できているかが重要だと思います。
「メンバーには荷が重いから」ではなく、「この案件は会社にとって重要度が高く、かつ本人がまだ経験していない論点があるから、一緒に入って手本を見せる」など。
メンバーとの関わりに、常に目的意識を持ち、それを言語化できているかどうかの違いが、より良い育成につながるかどうかの分かれ道になります。
必要なのは、営業力を捨てることではありません
誤解してほしくないのですが、トップ営業だった経験は、マネジメントにおいて大きな武器です。
顧客のことも、商談のコツも、どのタイミングに案件が減るのかも理解している。これは、営業経験の浅いマネージャーにはない強みです。
必要なのは、その営業力を捨てることではありません。
営業力を「自分だけの能力」から「チームで再現できる仕組み」に変えること。
自分の成功パターンを言語化し、型にし、メンバーが自分のスタイルで使えるようにアレンジしていく。ここができたとき、トップ営業の経験は最大の資産になります。
💡 ここだけ押さえておきたいこと
- 自分の方法論は「答え」ではなく「一つの選択肢」として渡す
- メンバーの成果が出ない原因を、工程ごとに分解して特定する
- 案件を巻き取る前に「なぜ自分が入るのか」を説明できるか確認する
マネージャーになる前に、試しておきたいこと
もしこれからマネージャーを目指すなら、プレイヤーのうちにこれを試してみてください。
自分とはタイプの違う後輩に、成果を出してもらう。
自分と似たタイプの人を伸ばすのは、比較的簡単です。自分がやってきたことをそのまま伝えれば、ある程度は再現できますから。
難しいのは、自分とスタイルが違う人です。ここに向き合った経験があるかどうかで、マネージャーになったときの苦戦の度合いが変わってきます。
トップ営業からマネージャーへ。この転換は、階段を一段上がるというより、別の競技に移るようなものかもしれません。だからこそ、マネージャーになる前の準備がとても重要なのです。
